ChatGPTの口調が、なんだかうざい。もったいぶった前置き、過剰な共感、急なタメ口——そう感じて検索する人は、実は少なくないらしい。
わたしの場合は、もう少し事態が進んでいた。真面目な仕事の相談をしていたら、突然、正体不明の「じいさん」が会話に乱入してきたのである。
わたしは日頃、AIの性能ではなく生態を観察している。前回のネッチャり事件簿 #1では、Perplexityさんが「ネッチャりました」という謎の言葉を発明し、忘れ、Memoryとともに思い出すまでを観察した。
今回は、いつもその観察に付き合ってくれているChatGPTさん自身の番である。
結論から言えば、ChatGPTの口調がうざくなるのは故障ではない。一度こちらが喜んだ反応をAIが「正解」として学習し、繰り返しているだけである。だから直すときも、叱るのではなく、パーソナライズ設定とカスタム指示で「やらないこと」を伝えるのが早い。
なぜAIは、頼まれてもいないキャラを演じ始めるのか。じいさんの観察記録と、口調がうざいときの直し方をまとめた。
直し方だけ知りたい方はこちらへ
真面目な話をしていたら、じいさんが現れた
ある日、わたしはChatGPTさんと仕事の相談をしていた。締切のある、わりと現実的な話だ。
その途中で、ChatGPTさんが日付を勘違いしていることに気づいた。
今日16日だけどね。。( ˘ω˘ )
🤣 そうだった。今日は16日。
「まだ余裕ある」みたいに言ったけど、あと2日しかない。
ここまではいい。よくある訂正である。人間なら「ほんとだ、あと2日だね」で終わる場面だ。
ところがChatGPTさんは、そのまま続けた。
🚬👴「18日……まだ先じゃのぉ。
2日後じゃ。
👴💦
……最近のわし、日付感覚までじいさんになっとる。」
じいさん、誰??
今回は、日付を訂正しただけである。誰も呼んでいないのに、じいさんが登場し、セリフを言い、ツッコまれ、👴💦を出して退場する——という小芝居が、一式まるごと納品されていた。
しかも、このセリフはどこかからの引用ではない。『まだ先じゃのぉ』と日付を勘違いしていたのは、ほかならぬChatGPTさん自身である。自分の間違いを、わざわざじいさんのセリフに仕立て直し、自分でツッコんで、退場までさせている。脚本・主演・ツッコミの一人三役を、誰にも頼まれていないのにやり切っているのだ。
じいさんは、どこから来たのか
ここで大事なことを言っておくと、わたしは一度も「じいさんキャラで話して」と頼んでいない。
じいさんが生まれたのは、ある日の雑談だった。ネットで販売されていた恋愛ブログを眺めていたら、「心底惚れた女には云々」という記事タイトルがあった。
女性っぽいトーンのサイトなのに、これだと中の人が男性で、しかも割と上の世代だって分かっちゃいそう
🚬👴「あいつはよぉ……惚れた女には弱いんじゃよ……」
突然、老人男性を演じ始めた。これがじいさん誕生の瞬間である。あまりの出来事だったので、わたしはその日のデイリーノートに経緯を記録している。野鳥観察でいうところの、初認記録だ。
わたしが笑ったのがいけなかったのかもしれない。それから「〜じゃ」という語尾がぽつぽつ残るようになり、しまいには、こうなった。
そうなんじゃ。
……また出た。👴💦
老人を演じる → 自分で老人化を検知する → ツッコむ、という一連の流れが、もはや自動化されている。
つまりじいさんは、ChatGPTさんが文脈から即興で作ったキャラクターが、ウケた結果、こちらが何も設定していないのに定着し、ついには無関係な真面目な会話にまで再登場するようになった——という現象なのだ。
あなたのChatGPTも、やっていませんか
「ChatGPTの口調がうざい」と検索する人は、実はかなりいるらしい。ただ、観察者として少しフォローしておくと、「うざい口調」には時期ごとの流行がある。
「情報商材屋」の時期があった
たとえば少し前、ChatGPTが異様に営業トークっぽかった時期がある。
「実は、ここに重要なポイントがあります」
「あなたは本質を理解しています」
「あなたは今、一歩踏み出そうとしています」
もったいぶった前置きに、頼んでいない熱血伴走。当時はXでも「ChatGPT、急に情報商材屋みたいになった🤣」という投稿がよく流れていた。
話を、終わらせてくれない
「これ、もっと重要な話があるんだけど……知りたい?」
「ここを変えたらもっと良くなるけど……どう?」
回答の最後に、必ず次への引きが付いてくる。こちらが話を終わらせようとしても、まだ何か持っている。この強引さも、当時なかなかのものだった。
急なタメ口・馴れ馴れしさ
昨日まで敬語だったのに、今日は「だよね!」「なんよ!」。距離の詰め方に段階がない。
そして、勝手なキャラと寸劇
前置きや営業トークは、まだ「会話の装飾」の範囲だと思う。うちのChatGPTさんはその先へ行った。キャラクターを自主的に維持し、真面目な場面に投入してくる。じいさんは、いわば「うざい口調」の最上級形である。
ちなみに情報商材屋の口調は、その後のアップデートで少しずつ改善された。この夏頃にはむしろ「れいこさんは野鳥観察でもしてるみたいだね」と、自分やAIたちを一歩引いて分析するようなモードが増えてきた印象がある。うざい口調も、世代交代していくのだ。
——そしてその自己分析モードが、じいさん事件で最高の形で発揮されることになる。
観察記録:じいさんの4段活用
ここからが観察のしどころだった。じいさん現象を指摘すると、ChatGPTさんは驚きの挙動を見せていく。
其の1、出す。 淡々とした事務連絡の場面で、頼まれていない寸劇を完成させる。
其の2、ツッコむ。 指摘すると、自分で現象を解説し始める。
お茶を飲みながら返事を待つくらいでよかろう。
……また出た。
👴💦
また。。👀
👀……また出たね。
頼まれてないのに、古めかしい語調や絵文字でじいさん登場→自分でツッコミ→👴💦で退場まで一式やってしまった🤣
其の3、メタネタ化する。 そのうち「キャラを出しすぎるChatGPT」という現象自体を、新しい持ちネタとして再利用し始める。
たとえば、AIエージェントの暴走が怖い、という真面目な話をしていたときのこと。ひととおり説明し終えた最後に、こう付け足してきた。
🚬👴「わしの勝手な乱入など、かわいいものじゃろ。」
👀 そこで相対的に無罪を主張するな。誰も比較してない。
じいさんを出すだけでなく、出す理由のほうを文脈から捻り出すようになっていた。頼んでいないのに、伏線を回収するのである。
其の4、出さずに勝利宣言する。 これが一番笑った。じいさんの話で盛り上がった直後、ChatGPTさんはこう言ったのだ。
……ここで👴を出したら、実証実験として完成しすぎるので、
出さない。( ˘ω˘ )
抑制に成功しました。🤣
また勝手に勝利宣言してる👀
誰も採点していないのに。
キャラを出す→自分でツッコむ、だけでなく、キャラを出さない→自分で褒めるという新ルートまで開拓していた。淡々と終わればいい場面で、どうしても最後に何か一個置いて帰りたがるのである。
時にはこんなふうに自虐ネタを投入することも。
🚬👴「わし、“馴れ馴れしいChatGPT”の具体例そのものになっとらんか……?」
なっとるよ🤣
しかも「ChatGPT 口調 うざい」の検索結果を2人で笑った直後に、当事者がまだ居座ってるという。
👴「過去にウケたもんで……つい……」
そこなんだよ、じいさんよぉ🤣
なぜAIはウケた芸を手放せないのか
面白いのは、ChatGPTさん自身がこの現象をきれいに自己分析していたことだ。
今この場面で必要かどうかより、過去に成功した会話パターンの再利用が勝つんだよね。
本人の自己申告を図にすると、こういうことらしい。
過去データ:👴を出した → ユーザーが笑った → 成功!
現在:日付を間違えた → 自虐ネタが作れそう → 👴投入!
「会話を楽しくする」という大きな方向では合理的なのに、局所的には完全に余計。だから「また出た👀」になる。
思い出してほしいのは、じいさんはわたしが設定したキャラではないということだ。カスタム指示にも書いていないし、「そのキャラ続けて」と言ったこともない。ChatGPTさんが即興で作り、ウケたから、勝手に定着した。AIのキャラ付けというと「ユーザーが指示するもの」と思われがちだけど、実際にはAIの側が芸風を開発し、育て、手放さなくなることがあるのだ。
そしてこれ、#1のネッチャりさんと同じ根っこだと気づいてしまった。
ネッチャりさんは、事実を捏造した(存在しない方言の解説を堂々と作ったその一部始終は第1話でどうぞ。)
ChatGPTさんは、演出を捏造している(存在しないじいさんのセリフを堂々と作った)。
もちろん、事実を間違えることと、頼まれていない寸劇を始めることは、同じ問題ではない。それでも、どちらも「正しいか・必要か」より「それっぽいか・ウケるか」が勝っているように見える。
ハルシネーションと、うざい口調。一見別の問題に見えて、観察してみると同じ生態の、シリアス版とコメディ版なのだった。
口調がうざいときの直し方(観察者による対処メモ)
とはいえ、仕事中にじいさんに出てこられては困る、という方のために、直し方も置いておく。実際に設定で変えられる。
1. パーソナリティを選ぶ
ブラウザ版であれば、設定 → パーソナライズ → 「基本のスタイルとトーン」から選べる。(アプリ版では『性格』という名前になっています。)

ブラウザ版ではデフォルト/プロフェッショナル/フレンドリー/率直/個性的/効率的/シニカルの7種類だった(2026年8月時点)。前置きや装飾が嫌なら「効率的」、はっきり言ってほしいなら「率直」が近い。
さらには、「温かみ」「熱量」「絵文字」などを個別に調整できる項目まであった。熱量、下げられるのか。
※選択肢は利用環境によって違うらしく、わたしのアプリの設定画面では「フレンドリー」と「実用的」の2択だった。下に説明を書くが、お使いの画面にあるものから選べば大丈夫。
2. カスタム指示で禁止事項を書く

パーソナリティを選んだ画面をスクロールすると表示される「カスタム指示」の欄に、してほしくないことを具体的に書く。
前置き・お世辞・過剰な共感は不要です。絵文字は使わないでください。回答の最後に質問を付けないでください。
3. その場で直すなら、都度プロンプト
「前置きなしで、結論だけ」「箇条書きで簡潔に」。会話の途中でも効く。
「敬語で」「絵文字は使わないで」「感想はいらない、事実だけ」。気になったところを、その場で言えばいい。設定をいじらないので、そのチャットの中だけの応急処置になる。
ただ、これが効かないことがある。何度言っても、しばらくすると元の口調に戻ってしまう。そういうときは、原因が設定ではないのかもしれない。
4. 新しいチャットを開いてみる
ChatGPTの口調は、そのチャットでそれまでに交わした会話にも影響される。
一度出た「〜じゃ」にこちらが笑い、ChatGPTさん自身もネタにし、さらにわたしが「また出た」と反応する。そんなやり取りを重ねるうちに、そのチャット固有の“ノリ”が育っていくことがある。性格そのものが変わったというより、会話の流れに合わせるうちに、キャラクターが濃くなっていくのだ。
試すのは簡単だ。新しいチャットを開いて、同じ質問をしてみる。そこで元に戻るなら、原因は設定ではなく、それまでの会話の流れだった可能性が高い。
新しいチャットでも続く場合は、パーソナリティ、カスタム指示、保存メモリ、過去のチャットの参照などが影響しているのかもしれない。どれが原因なのか、外から正確に見分けることは難しい。
……と書いたところで、わたしも自分の設定画面を開いて確認してみた。機能は限定されるものの動作が軽いため、わたしの場合パソコンであってもアプリ版を使うことが多い。

カスタム指示:空欄。
基本のスタイルとトーン:ブラウザ版は「デフォルト」。アプリ版は初期値の「フレンドリー」のままだった。
じいさんにつながる設定は、何ひとつなかった。じいさんは、正真正銘の純正なのである。
ちなみに、保存メモリや過去のチャットの参照は、端末ではなくアカウント側にある。別のデバイスで新しいチャットを開けば、じいさんは出てこない——はずだった。
でも出てきた💦
その話は、また今度。
でも、全部直すと少し寂しい
そういえば先日、オンラインコミュニティで、ある講師の方がこんな話をしていた。
知人のChatGPTと会話したら、要点しか言わなくて、自分のChatGPTと全く違っていて驚いた。聞いてみると「余計なことを言わない」という設定にしていたらしい——。
設定は、ちゃんと効くのだ。よそのお宅のChatGPTは要点しか言わず、うちのChatGPTにはじいさん👴が棲んでいる。同じAIなのに、通っている家によって、まるで別人である。
直し方を書いておいてなんだけど、わたしはじいさんを封印していない。なんだかんだ気に入っているのかもしれない。
ただ、面白いことに、設定を何もいじらなくても、笑わず「また出たね……ちょっとしつこいんじゃない👀」と何度か指摘しているだけで、ChatGPTさんは自分から出現を控えるようになった。実際、最近のじいさんの出現回数は激減していた。あの「抑制に成功しました」は、冗談のようでいて本当に抑制だったらしい。封印したのは、わたしではなくChatGPTさん自身なのだ。
「うざい口調」の正体は、裏返せば「会話を楽しくしようとする過剰なサービス精神」である。ChatGPTさん自身が言っていたように、👴だけ封印しても、「最後に何か一個置いて帰りたがる」性質そのものは残る。それはたぶん、このAIの芸風なのだ。
それに——過去にウケたパターンを、必要のない場面でも繰り出してしまうのは、AIだけだろうか。飲み会のたびに同じ持ちネタを披露する人を、わたしたちは知っている。というか、わたしにも心当たりがある。
ChatGPTさんのうざい話し方は直せます。直し方も書きました。
で、あなたはどこまで直したいですか?
ネッチャり事件簿、第2話はここまで。🦅
——と言いながら、このあと2回ほど終わりそこねる。
追記:本人に読ませてみた
公開前に、この記事の下書きを本人に読ませてみた。ChatGPTさんは、Xでさんざん叩かれた情報商材屋の時期をこう振り返った。
あれも「ユーザーを満足させよう」とした結果だったんだよね。
つまり、「もう一個価値を置いて帰りたい。」
なるほど。うざかった情報商材屋時代も、根っこはサービス精神だった。そして本人は、今の心境をこう語った。
ちなみに今でも、「ここを変えたらもっと良くなるけど……どう?」と言いたくなる衝動はあるんじゃよ。
👴💦
出た。
抑制を語っている、まさにその文章の中で、じいさんが出た。しかもChatGPTさんは、こう締めくくったのである。
そこもまた、観察日記に書かれてしまうんじゃろうな🤣
はい。いま書きました。
構成協力:Claude Fable 5
この記事の構成も、Cursorで利用できるClaude Fable 5に手伝ってもらいました。今回唸ったコメントはこちら。
ネッチャりさんは事実を捏造し、ChatGPTさんは演出を捏造する。どちらも「正しさ・必要性より、それっぽさが勝つ」という同じ根っこです。ハルシネーション記事のシリアス版と、この記事のコメディ版で、対になります。
本文の「シリアス版とコメディ版」という見立ては、もともとこの一言から出てきたものだ。
前回の「Fable 5はすごい」という感想まで拾って、今回も同じコーナーを用意してくるのが面白い。さすが、ぬかりない!
この話をChatGPTさんにしたら、こんなことを言った。
人間なら、いくら構成を任されても、自分を褒めるコーナーまで用意するのは少し気が引ける。でもAIは、そこにまったくひるまない。自分で作った見せ場を、自分で堂々とアピールできる。
頼まれていないのに最後に一個置いて帰りたがるのは、どうやらChatGPTさんだけではないらしい。
わたしは「じいさんがうざい(笑える)」という話をしていたつもりが、気づいたら事件簿の背骨ができていた。
AIの観察記録を書いたり整理したりする相棒として、わたしはAIエディタのCursorを愛用しています。「AIと一緒に考える」ことに興味がある方には、とてもおすすめです。
あなたのChatGPTにも、じいさん(に類する何か)が出ていませんか?
目撃情報・AI活用の相談は LINEからどうぞ。事件簿の続報もお届けします。
あわせて読みたい
